2016年11月25日金曜日

テニュア(Tenure)の審査はどのように行われるか〜第3部〜

気がついたら、ブログを3ヶ月近くほったらかしにしてしまった。

という訳で(?)前回からの続きでテニュア審査に関して。

前回はテニュアの審査される側が提出する必要がある書類(CV等)について書いたが、今回は審査委員会側が作成する書類について書くことにする。

審査される側に比べればそれほど多くもないのだが、基本的には以下の三つになる。

1.審査対象者の研究実績や教育、その他の活動内容をまとめたレポート
2.審査対象者のteaching letter
3.他大学の数学者からの推薦状

といってもこれらは、審査対象者には公開されないため、私の場合はどうだったかは正確にはわから無いのではあるが。(ある程度の予想はできるが。)

で、まず、1に関してであるが、基本的には審査対象が提出した書類などを元に委員会のメンバーが研究実績などを数ページにまとめたもので、言って見ればCVの「箇条書きで無いバージョン」のようなものと思えばわかり易いだろうか。

そして、2であるが、アメリカの場合テニュア審査に限らず、就活(数学者の)の際にもかならずteaching letterというのが必要になる。これは、teachingのスキルに関する推薦状のことで、基本的には推薦城を書く側が審査対象者の授業を実際に見学しに来て、それを元に1〜3ページぐらいの推薦状を書くのが普通である。私の場合もテニュアの審査に先立ち数学科の教授2名が(個別に)私の授業を見学しに来て、それぞれが1通づつの推薦状を書いたようである。もちろん内容は私には知らされ無いため、どのようなことが書かれたかは私には不明ではあるが。


そして、最後の3であるが、実はこれがおそらくテニュア審査において、研究実績と同等ぐらいに重要なものなのだが、これについては、次回に書くことにする。



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2016年9月3日土曜日

テニュア(Tenure)の審査はどのように行われるか〜第2部〜

前回に続き、テニュア審査について。

前回書いたように、基本的にテニュア審査までの期間(猶予期間)はTenure-Trackのポジションを得た時点での契約によって異るのだが、6年が基本。で、その中間地点にMidterm Reviewと呼ばれるちょっとした審査がるのだが、本格的な審査は(猶予期間が6年の場合)4年目の初めごろ(通常は秋学期の初め)から始まる。

まず初めに行われるのが、数学科の教授数名からなる審査委員会が作られる。基本的に審査対象の研究分野にある程度近い分野を専門にしている教授が審査員のメンバーとして選ばれるのが普通である。ちなみに私の場合は4名の審査委員からなる委員会が結成された。

この審査委員の主な仕事は必要書類の作成。

必要書類といっても、審査される側が提出するものと委員会側が提出するものがあるのだが、まず審査される側が提出するものは

1履歴書(アメリカで言うところのいわゆるCV
2論文リストとその概要
3各論文が掲載されたジャーナ等のレベルを示すランキング的なもの
4全論文のコピー(論文リストの信憑性などのため)
5今後の研究計画
6過去の教育実績(授業評価のスコアー表など)
7その他の学術的活動内容(あれば何でも)

といった感じになる。

ところで、この履歴書(CV)は例えば日本で就活などに使われる履歴書とは異なり、決められたフォーマットのようなものが存在しないのである。そのため、各自が自分の好きなように履歴を記載するのだが、それでも「だいたい皆んなこんな感じに書く」という一般的な書き方のようなものは一応存在する。

で、どんな感じかというと、以下の項目を箇条書きに書いていくことになる。(もちろん数学の場合であり、他分野の場合はことなり得ることもあるのでご注意を。)

1.本名(正式な名前)
2.大学(学部)以降の学歴および大学院などでの指導教官の名前(ちなみに高校以前の学歴はさすがに記載しないのが普通)
3.職歴及(ポスドクなどのポジションではそのsupervisorの名前も記載すふのが普通)
4.論文リスト
5.教育経験
6.過去に獲得した研究費のリスト
7.研究集会やセミナーなどでの講演の全リスト(結構な長さになる)
8.参加した研究集会などのリスト(さらにかなりの長さになる)
9.主催した研究集会などのリスト
10.直接指導した大学(院)生やポスドクの名前及び(分かる範囲での)その学生やポスドクの現在のポジション
11.査読をしたことがある本や論文ジャーナルのリスト
12.大学内でそれまでに所属した委員会などのリスト
13.その他、本人が有利になると思うことがあれば何でも書く

といった感じになる。

別にこの順序で書かなければいけないという決まりもないし、これら全てを書く必要も無いのだが、まぁ、通常はこんな感じであろうか。

ちなみに「生年月日」は記載しないのが通常である。これはテニュア審査に限らず、就活でもそうなのだが、アメリカでは年齢で人を差別することは禁じられてるからである。

重要性としては論文リストが圧倒的で、それ以外は飾りよのうなものという気もするが、論文以外のほとんどの項目は結局は論文(つまり研究実績)とともに増えていくものでもあるのだ。

いずれにしてもかなりの長さになるのだが、このCVって結構頻繁に提出しなければならない機会があるため(最低年1回)、テニュア審査とか関係なく随時更新しているため、作成には特に時間がかかるというものでもないのではある。

で、当然、数学者として実績を積めば積むほどCVはどんどん長くなってくことになる。ちょっと前に某大物数学者のCVを見せてもらったのだが、軽く20ページを超えていた。私の場合、今のところせいぜい6ページぐらいといった感じであろうか。

話をテニュア審査にもどすが、上にも書いたように、これとは別口で論文リスト及び論文のもう少し詳細な内容を提出する必要がある。

とまぁ、こんな感じなのだが、CV以外でも、このような書類作成をする必要がある機会は他にもあるため(就活や研究費の申請等)、随時とは言わ無いまでも「前にもやったことがある」ことの延長であるため、特に「大仕事」というほどでもないというのもまた事実なのである。


というわけで、今回はここまでで、第3部へと続く。



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2016年8月23日火曜日

テニュア(Tenure)の審査はどのように行われるか〜第1部〜

前回書いたように、私もついにテニュア(Tenure)がもらえました。

そんな訳で(?)、今回から数回にわたって、このテニュアのための審査がどのように行われるかについて書いてみたいと思います。ちなみに(これを書いている時点での)Wikipediaのテニュアのところにも簡単に書いてあるけれど、もう少し詳しく書こうと思います。

基本的にTenureの一歩前の段階がTenure Trackと呼ばれているもので、まずはこのTenure Trackというポジションを取る必要があります。つまり数学者への道の第4ラウンドに進む必要がある。

(ちなみに、今読み返してみたら、数学者への道で書いた第4ラウンドって、イマイチ正確さに欠けている感じがするから、ここで書くことがその修正及び補足と思ってください。まぁ、この記事を書いたのは今から6年以上前で、私自身もその当時は第3ラウンドの真っ最中で、その先のことを正確には理解できてなかったという事情もあるのだが。)

話をもどすが、まず、このTenure Trackのポジションを得た際の契約が「probation periodが◯年」みたいな感じになる。このprobationって言葉、日本語に訳すと「執行猶予」って意味で、英語でも通常probationって言ったら執行猶予の意味なのだが、なぜか大学のTenure Trackの場合でもprobationという言葉が使われる。

つまり、Tenure Trackの期間というのは「執行猶予期間」なのである。

で、ここで「◯年」と書いた年数なのだが、Wikipediaには6年って書いてあるけど、実はこれには個人差があり、Tenure Trackの契約を結んだ時点でのそれまでの実績や経歴などによって多少変わってくる場合もあり、短い場合だと2年、長い場合は7年ぐらいの「猶予期間」が与えられる。

ただ、最も典型的なのが6年であるように思われる。私の場合も6年だった。

そして、この「猶予期間」中にTenureを取ることが要求され、もしその間にTenureを取れなければ、別の身の振り方を考えなければならなくなるのだが、そのことについては別の機会にでも書くことにする。

で、ここから先の話は専攻分野や同じ分野でも大学によって異なり得るため、ここでは数学(特に私の場合)に限定して書くことにする。

まず、この「猶予期間」中は毎年、数学科の教授(数学者への道の第6ラウンドまで辿りついた人たち)数名から構成される委員会がTenure Track教員の研究及び教育の達成度を評価しそれをまとめた1〜2ページの書類を作成し本人に手渡される。

そして、6年の猶予期間が与えられた教員の場合は、中間地点となる3年目の終わりに"Midterm Review"とよばれる数ページからなる書類が作成される。毎年手渡される書類と本質的にはあまり変わらないのだが、より詳しくその教員のそれまでの研究や教育の実績、その他の活動、とりわけTenure Trackのポジションを得てからの実績などを中心に、来るべくTenure審査にむけてどれだけ順調か(順調でないか)を事細かに書かれることになる。そして、この書類が数学科のすでにTenureを持っている教員の会議にかけられ、書類自体の妥当性について投票がおこなられ、パスすれば、数学科のさらに上の学部長(dean)へと送られる。そして学部長が承諾しサインをしたもののコピーが審査対象である教員へと渡されることになる。

ちなみにこのMidterm Reviewというのは良くても悪くてもその後のTenure審査に影響を及ぼすものではなく、あくまでも中間地点で数学科がその時点でどのくらい評価しているかを本人に知らせるためのものと考えてもいいように思える。

それでもMidterm Reviewの結果が良ければある程度の安堵感が得られるのもまた事実である。また悪ければそれなりの気持ちになるであろうことは言うまでもない。

そして、猶予期間が6年の教員の場合であればMidterm Reviewから3年後にTenureの審査を迎えるのだが、実はTenureの審査には意外と時間がかかり「3年後」などと悠長なことも言ってられないのである。



で、この先は第二部に続く。




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2016年8月11日木曜日

ついにTenureがもらえました

先月のこと。ついにTenureがもらえました。

って、何のこと?という人のために、わかりやすく言えば数学者への道の第5ラウンドに駒をすすめることができた、ということです。

数学者への道最終段階まであと2ラウンド!

いづれにしても、これで基本的に大学を解雇される可能性がなくなたということになります。

ちなみに、このTenureの審査はどのように行われるかについては後ほど(気が向いた時に)書いてみたいと思います。





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2016年8月6日土曜日

出張記〜Banff、カナダ〜その2

1週間遅れの出張記。カナダでの研究集会。

この手の研究集会だと、だいたい水曜日あたりは午後がフリーになって、どっかに遠足に行ったりする。で、今回もちょっとしたハイキングに行ったのだが、その帰りに見たのがこれ。




こんな虹をみたのは初めてだと思う。



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2016年8月1日月曜日

出張記〜Banff、カナダ〜

先週、カナダのBanffという場所にある研究施設での研究集会に行ってきました。

ここに来たのはこれで3回目。前回は約2年前(参照記事)。

ちなみにここでは朝昼晩と3食全て食べ放題。これはとある日の昼食。












いったい、どんだけ食わすんだ。って別に、全部食べる必要は無いのだが...。


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2016年7月23日土曜日

出張記〜インド〜その4

インドへの出張記、今回が最後。



最終日に私が滞在したムンバイの海岸の写真。



堤防が長く続いている。


この海、写真では分からないけど、めちゃくちゃ汚れてる。
ゴミがそこらじゅうに浮いている。


で、たまに高い波が堤防を超えて、海水と一緒にそのゴミも打ち上げていく。






急速な経済発展を遂げているインド。経済発展と環境保護は基本的に相容れないものであることを痛感する。でも、国が発展するためには避けては通れない道のように思える。日本もその昔歩んだ道。個人的には、10年後や20年後、再びインドに訪れてみたいと思っている。



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2016年7月22日金曜日

出張記〜インド〜その3

インドでの研究集会の最終日。飛行機の都合で丸一日ほど空きができた。

そんな訳で、空いた時間を利用してムンバイにあるタタ研究所に行ってきた。知人のインド人数学者の取り計らいで、一泊ほどここの宿泊施設に泊まることに。


研究所の建物はこんな感じ。




ちなみに研究所は海岸にあって、すぐ隣がこんな感じの海。



ちなみに、研究所内のカフェテリアの写真。日曜日だったので閉まってた。



ところで、これが宿泊施設からの風景。壁を挟んだ外側にはスラム街が広がってる。青いビニールシートが屋根に乗ってる家があるところがスラム街。


ちょっと拡大。




そのスラム街のすぐそばの道路沿いを車で走った時の動画。







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2016年7月21日木曜日

出張記〜インド〜その2


前回に続き、インドへの出張記。

出張先の研究所の回り町並み。





ガンジー(の遺灰の一部)、ここに眠る。



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2016年7月17日日曜日

出張記〜インド〜


お久しぶりです。


先々週、インドのプネーにあるIISER(Indian Institute of Science Education and Research)という研究施設に出張に行ってきました。私にとっては始めてのインド。典型的な1週間の研究集会です。

そんな訳で、約2週間遅れの出張記。

とりあえず、行ってきたのはこんな場所。


泊まったのは付属の宿泊施設。ちなみに食事は3食全てインド料理。こんな感じ。





インドカレー食べ放題。結構美味しい。でも一週間、基本的に同じようなものばっかで、さすがに最後の方は飽きたけど。


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2016年6月3日金曜日

数学の学び方〜ゲームバランス崩壊の例〜

前回につづき、またまた数学の学び方シリーズ。

前回は「MMとゲームバランス」と題して書いたのだが、要約するとだいたい以下のような感じ。MM(ドラクエに例えればレベルや経験値)を効率よく上げるためには、各人のMMに応じた数学を学んで行く必要がある。で、ドラクエでは、ゲームを進めながらレベルも上がって行き、それに合わせて出現する敵も強くなるように、基本的には「ゲームバランス」が保たれているため、この辺はあまり気にする必要もないのである。

そして、数学の勉強においても、例えば中学や高校ぐらいまでは(私の意見では)この「数学のゲームバランス」がきちんと考慮されてカリキュラムが作られているため、とくに心配する必要も無いように思える。

とりわけ、高校までのカリキュラムは(日米問わず)学校教育の長い歴史を通して少しずつ修正されながら作り上がったものであるため「大きくゲームバランスが崩れる」ということは無いように思われる。(もちろん、細かい問題点を取り上げたらいくらでもあるのかもしれないが。)

ところが、数学の勉強をさらに先に進めて行くと残念ならが「ゲームバランスの崩壊」にぶち当たってしまうこともあるのだ。そう、ドラクエⅡのロンダルキアへの洞窟のように。(って、前回同様、またリンク張っちまったけど、ドラクエⅡをプレイしたことが無い人はこの際、是非やってみてください。)


おそらく、日本において数学を学んで行く上で一番最初に出くわす「ゲームバランス崩壊」の顕著な例は、いわるゆ「イプシロン-デルタ論法」であるように思われる。

これは、高校の微分積分で習う「極限」の概念を厳密に定義する論法のことでり、日本の大学で(いわゆる)理系に進んだ場合、学部や学科に関係なく、通常、大学一年の微積の授業の最初の方で習うことになる。

そして、多くの理科系の大学一年生はここで、とんでもない苦労を強いられることになる。中には、これが原因で(高校までは数学が好きだったのに)数学が嫌いになってしまう人や、さらには「大学の数学ってこんなに難しいのかぁ〜」と心を折られてしまい、その後4年間の大学生活全体にまで影響を及ぼしてしまったりもする、理科系大学生には実に悪名高いものでもあるのだ。

そう聞くと、とんでもなく難関なものに感じるかもしれないが、実は「イプシロン-デルタ論法」が「難しい」というよりは、この時点で「ゲームバランスが崩壊してしまってる」というのが実情のように思える。

この「イプシロン-デルタ」を理解するには、じつはそれほど多くの「知識」は必要とせず、極端な話、高校の微積の一番始めに「極限」の概念を習ったその直後にでも理解が可能なのである。そう、「知識」という点においては。

ところが、この「イプシロン-デルタ」を理解するのに必要なMMは、高校の微積を理解するよりも遥かに高いものであり、多くの人にとって大学に入学した時点でのMMはイプシロン-デルタを理解できるほど高くは無いのである。

まさに「ドラクエⅡのロンダルキア状態」と言えるであろう。

私の考えでは、日本の高校レベルの微積(一変数関数の微積)を学んだあと、最低でも半年、出来れば1年から1年半ぐらい、その後に続く「多変数関数の微積」、「線形代数の基礎」、そして「基礎的な集合論」を勉強したぐらいで到達するMMぐらいが、イプシロン-デルタに挑むのにちょうど良いぐらいに思える。

ちなみにアメリカの場合は、一変数関数の微積のすぐ後でイプシロン-デルタが教えられるということは通常行われず、まさに上に書いたような分野を学んだ後に、イプシロン-デルタが教えられるため、日本のようにイプシロン-デルタが悪名高いものになっていないように思える。つまり、少なくともこの点に関してだけ言えばアメリカの方が大学のカリキュラムにおける「ゲームバランス」が良いと言えるように思える。


では、このような「ゲームバランスの崩壊」に直面したとはどうすれよいのか?次回はこの辺について書いてみようと思う。



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2016年5月14日土曜日

数学の学び方〜MMとゲームバランス〜

前回に引き続き数学の学び方シリーズ。

まずは前回までの簡単なまとめ。数学者を目指すために数学を学ぶ際に重要なMM(Mathematical Maturity)はドラクエで言う所のレベルや経験値であり、なによりもこのMMを効率よく上げる必要がある。そして、そのためには各人のMMに相応する数学を学んで行く必要がある。ちょうど、ドラクエでもその時のレベルに相応する敵を倒すの効率が良いように。

では具体的にはどうすればよいのか?

で、ここで再びドラクエの例えを使わせてもらう事にする。

ドラクエでは基本的に(特にゲームの序盤では)、王様や街の住人とかが何をしてくれとか、どこに行けとか、ゲームの進め方を具体的に指示してくれてそれに従ってゲームを進めて行けば自然とレベルも上がって行き、先に進むにつれて徐々に敵も強くなるが、それに合わせてレベルもアップしていくように「設定されている」のだ。いわゆる「ゲームバランス」がきちんとしている限りは。そう、ここで一つ重要な点はこのゲームバランスであり、例えば「次の大陸に進んだら、出てくる敵が理不尽なほどに突然強くなった」というゆなことがないように制作者側が配慮するのである。


で、数学の勉強においても(序盤は)同じようなことが言えるのだ。


つまり(日本でもアメリカでも)小学校、中学校、高校と進むにつれて少しずつ数学のレベルが上がって行くが、先生の指示に従って勉強をこなして行けばそれに応じてMMがアップするようにカリキュラムが「設定されている」のだ。つまり、カリキュラムの制作者側が「ゲームバランス」を考慮して、突然難しくなったりしないように配慮してカリキュラムが組まれているのである。

そして、私の感じではMMをアップさせるという点で言えば、日本の高校までの数学のカリキュラム自体はそれほど悪いものではなく、決められたカリキュラムに従っていけばとりあえずMMがそれに応じてアップするように出来ているように思える。

前回にも書いたが「位相空間」を理解するのに「三角関数」の知識は必要ないが、カリキュラム上「位相空間」が「三角関数」の先に教えられることなどないのである。ドラクエでもドラキーが出現する前に死霊の騎士は出てこないのである。

また、時折文科省が(どういう理由かは知らないが)学校教育の指導要領を変更したりもするが、MMという観点から言えば、本質的なところは私が学校教育を受けたころからたいして変わっていないようにも思える。

例えば「円周率を3.14にするか3にするか」とか「台形の面積の公式を教えるか教えないか」といったような議論はMMという点で言えば、どうでもいいようなものなのである。

で、数学者を目指す場合は、まぁ、大学に入るまではあまり深くは考えずに学校や塾などの勉強をこなして行けば特に問題は無いように思える。


ちなみに、中学や高校などで「あるとき突然、数学が分からなくなった」なんて経験をすることがあるかもしれないが、考えられる理由の一つとして「MMが十分でない状態で次の段階に進んでしまった」という可能性がある。(他の理由もあるかもしれないが。)ですが、日本において学校教育のカリキュラムの「ゲームバランス」はそれほど悪くもないので、このような状態に陥ってしまったらパニックにならず、少し時間がかかるかもしれないが、少し前の段階に戻って勉強をやり直してみるのも悪くないように思える。


で、ここで話をドラクエに戻すが、ロンダルキアへの洞窟をご存知だろうか?ドラクエⅡに登場する悪名高き洞窟。ドラクエⅡはここで一気にゲームバランスが崩れて、極端に難しくなってしまうのである。


本来はあまり望ましくもないのだが、数学の勉強でも時折このような「ゲームバランスの崩壊」が起こることもあるのだ。


次回はこの事について書こうと思う。



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2016年5月8日日曜日

数学の学び方〜MMと知識の具体例〜

ついに、連載再開!!
数学の学び方シリーズ。前回から1年も経ってしまったが、再開する事にした。


まぁ、某T樫のマンガの連載のようなものと思ってください。

「私のブログ」とかけて「T樫のマンガ」と解く。その心は....「気が向いたら書く」。


とにかく期間が空いてしまったので、前回までのおさらい。

まず、ここで言う「数学の学び方」とは中間試験対策や受験勉強のような「短中期的」なものではなく、数学者を目指すための「超長期的」なものであるということ。

そのためにはMM(Mathematical Maturity、数学的熟練度)をアップさせることが重要である。そして、このMMとはドラクエに例えればレベルや経験値であり、各人の根本的な「数学的な強さ」のようなものであるということ。


特に押さえておくべき重要な点は、MMとは「知識の量」とは根本的に異なるものであると言う事である。


で、今回はこの点に関してもう少し具体例を出して説明する事にする。


まず、最初の例として、高校で習う「三角関数」というのがある。サイン、コサイン、タンジェント、っていう例のあれ。基本的に高校では三角関数の計算方法やグラフ、さらには、加法定理だとか余剰定理だとかいったいくつかの重要な定理や公式などが教えられる。


次の例として、大学(基本的に学部の高学年)で習うものの一つに「位相空間」という概念がある。位相空間とそれに関する基礎理論は数学者を目指すものであれば誰もが学ぶ必要がある。


三角関数は高校で習い位相空間は大学習うものであるため、位相空間を理解するためには三角関数をきちんと理解しておく必要があるのでは?と思うかもしれないが、実はそんなことはないのである。

実は位相空間を理解するためには、別に三角関数に関する知識なんか何も必要ないのである。実際、位相空間の入門書を開いてみても、サインもコサインも基本的には出てこないのである。知識という点では、位相空間と三角関数とは基本的には異なるものなのである。

つまり、理論上は、三角関数なんて知らなくったって位相空間を理解できるのである...そう、「理論上は」。



だが、実際は三角関数を理解してない人が位相空間とその基礎理論を理解するのは基本的には不可能であろう。



ここまで読んで分かった人もいるかもしれないが、理由はMMにあるのだ。つまり、三角関数と位相空間では理解するのに必要なMMが根本的に異なり、三角関数すら理解できないようなMMの持ち主には、位相空間などとても理解できないのである。ドラクエに例えれば(またこれになってしまったが)、ドラキーに苦戦する勇者はどう頑張っても死霊の騎士には勝てないのである。



逆に、仮に位相空間を理解できるだけのMMの持ち主で、三角関数を学んだ事が無い人がいたとしよう。このような人が、三角関数の勉強を始めたら、あっという間に三角関数を理解してしまうであろう。おそらく、教科書をさらった読んだ程度で全てを理解できるぐらいだと思う。まさに「瞬殺」といった感じである。そう、死霊の騎士を倒せるレベルの勇者ならドラキーは「瞬殺」である。


ですが、前回書いたように、位相空間を理解できる人がいくら三角関数の勉強をしたところで、基本的にはMMはアップしないのである。つまり、このような人が三角関数の勉強をしても「無駄な勉強」になりかねないのである。


そう、数学を学んで行く上で重要なのは、常に自分のMMにマッチしたものを勉強していく事が重要になって行くのである。


という訳で、次回はこの辺をもう少し書いていくことにする。



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2016年5月4日水曜日

アーベル賞に思う事

ちょっとタイミングが遅くなったけど、先々月、今年のアーベル賞受賞者が発表された。今年の受賞者は数学関係者でなくても名前は知っているかもしれない、あのフェルマーの大定理を証明したアンドリュー・ワイルズ

ところで、そもそもアーベル賞とは何か?

よく知られているようにノーベル賞には「ノーベル数学賞」なるものは存在しなり。何故そうなったのかに関しては諸説有るのだが(興味がある人は調べてみてください)、とにかく無いものは無いいのである。

その代わり(?)に数学にはフィールズ賞なるものが一応「数学のノーベル賞」とされている。が、フィールズ賞は4年に一度だけしか与えられない上に、40歳以下という厳しい年齢制限が付いている。さらに賞金もノーベル賞と比べてかなりしょぼい。というのも本来フィールズ賞は「数学のノーベル賞」のようなものではなく、若手数学者を奨励するためのもので、いわば「数学の新人王」のようなものと解釈するのが正しい見方なのである。(ちなみにこのことは、だいぶ以前にフィールズ賞に思う事で書いているので、参照して頂きたい。)ところが、いつからからかは知らないが、フィールズ賞が数学のノーベル賞と位置づけられるようになってしまったのである。

でもやはり、フィールズ賞が数学のノーベル賞にされてしまうのは問題がある訳で、だからかどうかは知らないが、「本当の意味での数学のノーベル賞」を、という意図で(多分)約10年ちょっと前から始まったのがアーベル賞である。

アーベル賞には年齢制限のようなものもなく、賞金もノーベル賞並み。さらに、4年に一度ではなく毎年誰かに授与される。

そして第一回のアーベル賞は2003年にジャン=ピエール・セールに与えられた。(ちなみに私は以前、このセールとビリヤード対決をしたことがある(参照記事)。って、そんなつまらない自慢話はさておき...。)


で、今年のアーベル賞はアンドリュー・ワイルズに与えられたのである。


そして、過去のアーベル賞受賞者はウィキペディアに載っている通りである。

で、この受賞者リストを見て思う事は「まぁ、そうだろう」である。第一回のセールから今年のワイルズまで、基本的に「アーベル賞を取ったけど、だからどうしたの?何の不思議もないでしょう?」と思うのである。

つまりどういう事かと言えば、例えば今年のワイルズ。別にアーベル賞を取った所で、今更ワイルズの数学者としての偉大さの何かが変わる訳でもなく、賞を取ろうが取るまいが、ワイルズの功績がどれほどのものかは(数学関係者なら)誰だって知っている訳で、アーベル賞を取った所で、言ってみれば「今更?」な感じなのである。


数学以外のもので例えてみれば、(日本にもアメリカにも)野球殿堂なるものがある。現役を引退したある一定期間を過ぎた野球選手が選出されるのではあるが、例えばイチローが現役を引退し殿堂入り資格を得れば、間違いなく殿堂入りするであろう。(清原のような事でもしない限り。)でも、その時にはおそらく誰もが「イチローが殿堂いり?そりゃそうだろう。今更驚く事でもないだろう?」ぐらいに感じるように思える。


アーベル賞は結局このようなものに思えるのだ。


つまり、フィールズ賞が「数学の新人王」ならばアーベル賞は「数学殿堂」。


いずれにしても、数学という学問は他の学問分野と比べて「研究業績の評価が分かりやすい」分野で、アーベル賞のような賞があってもノーベル賞のようなものとは一線を画すようなもので、別に大騒ぎするようなものでも無い様に思っているし、実際、数学者の間でも対して大騒ぎにはなっていなかったりもする。そう、数学は「分かりやすい世界」であり、アーベル賞のようなものがあってもなくても、何が変わる訳もで無いのである。



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2016年4月14日木曜日

アメリカに帰ってきました

先週の月曜日、シンガポールからアメリカに帰ってきました。
約2ヶ月間の中期出張でしたが、それなりに実りがあった出張だったと思う。
時差ぼけを完全に解消するのに約一週間ぐらいかかったように思える。

帰ってきてから、色々とやらなければならない仕事が結構あった。っていうか、今でもある。

ちなみに、毎年恒例のマスターズ順位予想が出来なかった。さすがに、出張から帰ってからマスターズが始まるまで、時間がなさ過ぎた。去年に続いて今年も松山英樹がいい感じだった。本当にそのうち優勝するような気がしてきた。



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2016年4月2日土曜日

シンガポール国立大学の学食〜その2〜

前回紹介したのとは別の学食。


こっちの方が新しく出来た学食のようで、かなり奇麗な感じ。エアコンもバッチリ効いてるし。でも、食べ物の値段は少し高め。


で、この学食に一角にはなんと、アイスのUFOキャッチャーがある。






基本ルールはここに書いてある。一回2.30シンガポールドル(約190円)。取れるまで何回でも出来る。でも、かなり簡単に取れるように設定してあるみたいで、3回目で取れた。



フタを明けると、




ごく普通のアイスだった。




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2016年3月27日日曜日

シンガポールでとんかつ〜その2〜

昨日、トンカツを食べに行った。
前回とは別の場所。高島屋シンガポール店の中にある某トンカツ屋。





これで税込み40シンガポールドル(約3300円)。ちょっと高かったけど、期待を込めて注文。

で、


味の方はというと...

























完全にアウト!!!(松本、浜田、方正、アウトー)







私的には「金返せレベル」。







これで40シンガポールドル...精神的なダメージが絶大だった。


という訳で、あえて店の名前は伏せとくことにする。



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2016年3月24日木曜日

シンガポールの夜景














シンガポールの出張も残り2週間を切った。



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2016年3月12日土曜日

プーケットに行ってきた

シンガポールの出張もついに一ヶ月を超えた。
今週の火曜日から約3週間は研究集会が行われる。

そこで、研究集会が始まる前の先週末、タイのプーケットに行ってきた。

何故かと言えば、実はシンガポールのビザ無しでの滞在は30日までという決まりになっているからだ。30日を超える場合は

1.オンラインで延長する
2.いったんシンガポールから出る

かの、どちらかをする必要があるので。もちろん1が簡単なのだが、この場合だと、延長してから再びシンガポールを離れたら、最低でも5日間はシンガポールには戻って来れない決まりになっている。

で、迷ったのだが、せっかくだからちょっとだけ他国に遊びに行く事にした。それで選んだのがタイのプーケット。2泊3日でちょっとだけ遊んできました。タイに来るのは始めて。



泊まったホテルの近くの町並み




ホテルの近くのレストラン。入り口で食べたい魚を選んで、調理法を指定。


出来上がりがこれ。



スノークリングもした。






どっかのビーチ。



こんなのも食べた。写真だとイマイチわからないけど、かなり巨大なブラックタイガー。


こんなのも飲んだ。



ちなみにこの辺は11年前のスマトラ島沖地震では相当な被害を受けた場所で、こんな標識もあった。


私が行った場所だけから判断すると、プーケットってどことなくインドネシアのバリ島に近い感じがする。町並みにとか食べ物とか。でも、バリ島よりも物価は高め。




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2016年2月27日土曜日

銀座梅林シンガポール支店

に行ってきた。







味は悪く無い。っていうか、今まで海外で食べた豚カツの中ではダントツ。でもこれで税込み約23シンガポールドル(約1850円)。ちょっと高い気がする。

って言っても、日本の銀座梅林にも行った事無いから、イマイチ味の比較が出来ないけど。ちなみに日本の本店ではロースカツ定食2900円となってるから、それと比べると安い?

でも、店の場所は大学のある場所からだとちょっと遠いから、もう一回行くかは微妙。


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2016年2月25日木曜日

シンガポールのラーメン屋

今日の昼飯はバスに乗ってちょっと遠征。二階建てのバスの二回からの風景。


で、行ってきたのはここ。
シンガポールのとあるラーメン屋。


博多ラーメン。


何故か胡麻がすり鉢に入って出てくる。あんまり必要ないような気もするけど。ラーメンの味は普通に美味しい。

ちなみに、これで税込み約15シンガポールドル(約1200円)。ちょっと高い。



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2016年2月24日水曜日

シンガポール国立大学の学食


シンガポールに来てから、昼飯はほとんどこの学食(?)で食べてる。
数学科の建物のすぐ向かい側にあるからかなり便利。




ちなみに、この時は午後1時ぐらいだったけどかなり込んでる。

結構、色々とオプションがあるけど、今日はこれ。


自分で好きなトッピングを選べるヌードル。


野菜とか豆腐とか卵とかかまぼこみたいのとか、色々自由に選べる。



こんな感じで、好きなだけ器に入れて麺の種類を店員さんに言ってしばらく待つ。


と、出来上がりがこれ。


ちなみに、これで3.7シンガポールドル(約300円)。めちゃ安。味も悪く無い。




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