2016年8月23日火曜日

テニュア(Tenure)の審査はどのように行われるか〜第1部〜

前回書いたように、私もついにテニュア(Tenure)がもらえました。

そんな訳で(?)、今回から数回にわたって、このテニュアのための審査がどのように行われるかについて書いてみたいと思います。ちなみに(これを書いている時点での)Wikipediaのテニュアのところにも簡単に書いてあるけれど、もう少し詳しく書こうと思います。

基本的にTenureの一歩前の段階がTenure Trackと呼ばれているもので、まずはこのTenure Trackというポジションを取る必要があります。つまり数学者への道の第4ラウンドに進む必要がある。

(ちなみに、今読み返してみたら、数学者への道で書いた第4ラウンドって、イマイチ正確さに欠けている感じがするから、ここで書くことがその修正及び補足と思ってください。まぁ、この記事を書いたのは今から6年以上前で、私自身もその当時は第3ラウンドの真っ最中で、その先のことを正確には理解できてなかったという事情もあるのだが。)

話をもどすが、まず、このTenure Trackのポジションを得た際の契約が「probation periodが◯年」みたいな感じになる。このprobationって言葉、日本語に訳すと「執行猶予」って意味で、英語でも通常probationって言ったら執行猶予の意味なのだが、なぜか大学のTenure Trackの場合でもprobationという言葉が使われる。

つまり、Tenure Trackの期間というのは「執行猶予期間」なのである。

で、ここで「◯年」と書いた年数なのだが、Wikipediaには6年って書いてあるけど、実はこれには個人差があり、Tenure Trackの契約を結んだ時点でのそれまでの実績や経歴などによって多少変わってくる場合もあり、短い場合だと2年、長い場合は7年ぐらいの「猶予期間」が与えられる。

ただ、最も典型的なのが6年であるように思われる。私の場合も6年だった。

そして、この「猶予期間」中にTenureを取ることが要求され、もしその間にTenureを取れなければ、別の身の振り方を考えなければならなくなるのだが、そのことについては別の機会にでも書くことにする。

で、ここから先の話は専攻分野や同じ分野でも大学によって異なり得るため、ここでは数学(特に私の場合)に限定して書くことにする。

まず、この「猶予期間」中は毎年、数学科の教授(数学者への道の第6ラウンドまで辿りついた人たち)数名から構成される委員会がTenure Track教員の研究及び教育の達成度を評価しそれをまとめた1〜2ページの書類を作成し本人に手渡される。

そして、6年の猶予期間が与えられた教員の場合は、中間地点となる3年目の終わりに"Midterm Review"とよばれる数ページからなる書類が作成される。毎年手渡される書類と本質的にはあまり変わらないのだが、より詳しくその教員のそれまでの研究や教育の実績、その他の活動、とりわけTenure Trackのポジションを得てからの実績などを中心に、来るべくTenure審査にむけてどれだけ順調か(順調でないか)を事細かに書かれることになる。そして、この書類が数学科のすでにTenureを持っている教員の会議にかけられ、書類自体の妥当性について投票がおこなられ、パスすれば、数学科のさらに上の学部長(dean)へと送られる。そして学部長が承諾しサインをしたもののコピーが審査対象である教員へと渡されることになる。

ちなみにこのMidterm Reviewというのは良くても悪くてもその後のTenure審査に影響を及ぼすものではなく、あくまでも中間地点で数学科がその時点でどのくらい評価しているかを本人に知らせるためのものと考えてもいいように思える。

それでもMidterm Reviewの結果が良ければある程度の安堵感が得られるのもまた事実である。また悪ければそれなりの気持ちになるであろうことは言うまでもない。

そして、猶予期間が6年の教員の場合であればMidterm Reviewから3年後にTenureの審査を迎えるのだが、実はTenureの審査には意外と時間がかかり「3年後」などと悠長なことも言ってられないのである。



で、この先は第二部に続く。




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1 件のコメント:

あずぴか さんのコメント...

へー、確かにWikiの書き方だと何だかボンヤリした感じ。日本にこういう制度がないからかな?似た様なものはあるのかな?(^ ^)
研究をしていたり研究者を志している人達にとってはとっても興味深いし、為になるから第2部が早く更新されるといいな〜。いい所で終わってるから気になる(笑)。