2016年9月3日土曜日

テニュア(Tenure)の審査はどのように行われるか〜第2部〜

前回に続き、テニュア審査について。

前回書いたように、基本的にテニュア審査までの期間(猶予期間)はTenure-Trackのポジションを得た時点での契約によって異るのだが、6年が基本。で、その中間地点にMidterm Reviewと呼ばれるちょっとした審査がるのだが、本格的な審査は(猶予期間が6年の場合)4年目の初めごろ(通常は秋学期の初め)から始まる。

まず初めに行われるのが、数学科の教授数名からなる審査委員会が作られる。基本的に審査対象の研究分野にある程度近い分野を専門にしている教授が審査員のメンバーとして選ばれるのが普通である。ちなみに私の場合は4名の審査委員からなる委員会が結成された。

この審査委員の主な仕事は必要書類の作成。

必要書類といっても、審査される側が提出するものと委員会側が提出するものがあるのだが、まず審査される側が提出するものは

1履歴書(アメリカで言うところのいわゆるCV
2論文リストとその概要
3各論文が掲載されたジャーナ等のレベルを示すランキング的なもの
4全論文のコピー(論文リストの信憑性などのため)
5今後の研究計画
6過去の教育実績(授業評価のスコアー表など)
7その他の学術的活動内容(あれば何でも)

といった感じになる。

ところで、この履歴書(CV)は例えば日本で就活などに使われる履歴書とは異なり、決められたフォーマットのようなものが存在しないのである。そのため、各自が自分の好きなように履歴を記載するのだが、それでも「だいたい皆んなこんな感じに書く」という一般的な書き方のようなものは一応存在する。

で、どんな感じかというと、以下の項目を箇条書きに書いていくことになる。(もちろん数学の場合であり、他分野の場合はことなり得ることもあるのでご注意を。)

1.本名(正式な名前)
2.大学(学部)以降の学歴および大学院などでの指導教官の名前(ちなみに高校以前の学歴はさすがに記載しないのが普通)
3.職歴及(ポスドクなどのポジションではそのsupervisorの名前も記載すふのが普通)
4.論文リスト
5.教育経験
6.過去に獲得した研究費のリスト
7.研究集会やセミナーなどでの講演の全リスト(結構な長さになる)
8.参加した研究集会などのリスト(さらにかなりの長さになる)
9.主催した研究集会などのリスト
10.直接指導した大学(院)生やポスドクの名前及び(分かる範囲での)その学生やポスドクの現在のポジション
11.査読をしたことがある本や論文ジャーナルのリスト
12.大学内でそれまでに所属した委員会などのリスト
13.その他、本人が有利になると思うことがあれば何でも書く

といった感じになる。

別にこの順序で書かなければいけないという決まりもないし、これら全てを書く必要も無いのだが、まぁ、通常はこんな感じであろうか。

ちなみに「生年月日」は記載しないのが通常である。これはテニュア審査に限らず、就活でもそうなのだが、アメリカでは年齢で人を差別することは禁じられてるからである。

重要性としては論文リストが圧倒的で、それ以外は飾りよのうなものという気もするが、論文以外のほとんどの項目は結局は論文(つまり研究実績)とともに増えていくものでもあるのだ。

いずれにしてもかなりの長さになるのだが、このCVって結構頻繁に提出しなければならない機会があるため(最低年1回)、テニュア審査とか関係なく随時更新しているため、作成には特に時間がかかるというものでもないのではある。

で、当然、数学者として実績を積めば積むほどCVはどんどん長くなってくことになる。ちょっと前に某大物数学者のCVを見せてもらったのだが、軽く20ページを超えていた。私の場合、今のところせいぜい6ページぐらいといった感じであろうか。

話をテニュア審査にもどすが、上にも書いたように、これとは別口で論文リスト及び論文のもう少し詳細な内容を提出する必要がある。

とまぁ、こんな感じなのだが、CV以外でも、このような書類作成をする必要がある機会は他にもあるため(就活や研究費の申請等)、随時とは言わ無いまでも「前にもやったことがある」ことの延長であるため、特に「大仕事」というほどでもないというのもまた事実なのである。


というわけで、今回はここまでで、第3部へと続く。



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